歴代興行収入1位の記録を塗り替え、さらに記録を伸ばし続けている劇場版『鬼滅の刃』。
この記事を書いている時点での最新の数字(1月17日時点の記録)で、なんと既に361.8億円!
一体どこまで記録が伸びるのでしょうか?
個人的には400億円もそのうち超えてしまうのだろうな…と思っています。
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この映画の中で、もはや主人公といっても差し支えないほど活躍し人気となっているのが、主人公の上司にあたる炎柱の『煉獄杏寿郎』。
その煉獄さんの座右の銘が映画の入場者特典冊子の中で公表されていたので、その意味について調べてみました。
言葉の意味や例文、元の言葉の出典も含めてまとめておきたいと思います。
煉獄さんの座右の銘は『斃れて後已む 精神一到何事か成らざらん』
『斃れて後 已む 精神一到 何事か 成らざらん』
こちらの言葉は、
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の入場者特典冊子『煉獄零巻』
に煉獄さんの好きなことわざ・座右の銘として記載されています。
スペースの関係で、空白を入れている位置で細かく改行されていました。
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漢文を書き下した文のようだとはわかりますが、どこで区切るのかがわかりにくいですよね。
調べてみたところ、
・斃れて後已む
・精神一到何事か成らざらん
の2つの文章から成っているということがわかりました。
1つずつ分けてみていきましょう。
『斃(たお)れて後(のち)已(や)む』の意味
出典は、中国前漢時代の書「礼記(らいき)」です。
原文は『斃而后已』とあります。
『斃(たお)れる』とは、
『事故や事件、または不意の出来事などで死ぬこと、殺されること』
を意味します。
『凶弾に斃れる(=凶悪犯に銃撃されること)』といった文脈で使われる言葉です。
そして『已(や)む』とは、
①『仕方なく/そうしないですむ』
②『(それまで続いてきたことが)すっかり終わりになる』
という意味です。
①は『已むに已まれぬ』『已むを得ず』などと同じ用法ですが、このことわざ『斃れて後已む』で使う場合には②の意味になります。
※参考ページ:三省堂ことばのコラム
2つをまとめると、
『(自分ではどうにもできない事情等で)死んだ時にやっと(ずっと続けてきた事を)終わりにする』
つまり、ここでは
『生きている限りは何があっても挫けたりやめたりせず、精一杯努力し続ける』
という意味になります。
『精神一到(せいしんいっとう)何事(なにごと)か成(な)らざらん』の意味
出典は、中国宋時代の思想書『朱子語類』です。
原文は『精神一到、何事不成』とあります。
原文の漢文自体がシンプルなので、前半部分より意味がとりやすいですね。
唯一わかりにくいのは『一到(いっとう)』の部分ですが、これは『集中する』という意味です。
よって、このことわざの意味は、
『精神を集中して努力すれば、どんなことでも成し遂げられないことはない』
です。
なお、四字熟語『精神一到』だけでも同じ意味をさす場合があるようです。
白鵬が第69代横綱に昇進した際の口上でも、
「横綱の地位を汚さぬよう、精神一到を貫き、相撲道に精進いたします」
とこの四字熟語が使われています。
参考ページ:朝日新聞DIGITAL
おわりに
高い志と決意のもと、最期まで不屈の努力を続けた煉獄さん。
命あるもの全てを慈しむ心とそれを守る強さを併せ持ち、後輩たちの心に消えない炎を灯した、人間的に非常に魅力的なキャラクターです。
おまけに中国の古典を座右の銘としていたとは…!
恐らく学問にも秀でていたことでしょう。
文武両道とはまさにこのことですね。
『斃れて後 已む 精神一到 何事か 成らざらん』
煉獄さんのキャラクターにぴったりな、熱く覚悟のこもった言葉でした。